秋といえば、お芋の季節ですね。
芋というと、ジャガイモ、サツマイモ、そしてサトイモの名前が挙がると思います。
お芋はお芋と一括りにしがちですが、サトイモは、サツマイモやジャガイモとかなり性質が違います。
個人的には大好きな野菜💛なので、
是非とも、皆さんにサトイモのことを少し知っていただき、
おいしく食べていただけたらと思います。
レシピも載せていますので、是非最後までご一読ください。
サトイモのルーツ
よくいろいろな野菜の保存方法を聞かれたりするのですが、
野菜はそのルーツ(原産地)がわかると、どのような場所に保存するのかがわかることがよくあります。
サトイモは、もともとインドやインドシナ半島などの熱帯地方が原産で、そこから広がっていったと言われています。
熱帯アジアがルーツということは、サトイモは高温で湿気も高いところ生まれということになります。
ですから、「暑さに強く、乾燥には弱い」野菜で、
冷たくて乾燥しているところで保存するのは不向きということです。
サトイモは大昔、日本人の主食だった
日本での栽培の歴史は古くて、縄文時代には大陸から渡来して作られていました。
日本の水稲(お米)が作られ始めたのが弥生時代ですから、稲作よりも古い歴史があります。
縄文時代の主食はサトイモだったという説もあります。
デリケートな芋
サトイモのジャガイモやサツマイモと異なる点は、貯蔵しておいしくはならないということです。
サツマイモは含まれているでんぷんが糖化していくことで、寝かせることで甘くなります。
(温度と湿度を管理して貯蔵し、デンプンを糖化させて糖度をあげてから出荷しています。)
サツマイモが堀りたてよりも寝かせたほうが美味しい芋なのに対して、
サトイモは、掘りたてのほうがよいのです。
(じゃがいもも、品種にもよりますが、だいたい少し置いたほうが味わい深くなります)
サトイモの場合、掘ってから時間が経過すれば、しっとりとしていた芋がだんだん乾燥してきます。
また冷蔵庫などの冷たいところに入れてしまうと、
暑いところが好きな芋は低温障害を起こしてしまいます。
時々、赤い筋や変色したものがありますが、これは低温のダメージを受けた跡です。
(秋に収穫して、年を越したあたりからこういう芋が増えますね。)
サトイモは意外とデリケートなので、上手に温度と湿度管理をしないと、おいしさを保てない芋なのです。
その管理が難しいので、サトイモは旬の時期にさっさと食べたほうがよいお芋なのです。
所変わればサトイモも変わる
関東ではサトイモと言えば、「ねっとり」というイメージだと思いますが、
関西などでは「ほっこり」というイメージを持っている人も多いと思います。
サトイモといっても、いろいろな品種があるのですが、関東と関西ではよく食べられている
品種が違います。
関東では、「土垂(どたれ)」という品種が主流です。
これは「しっとり&ねっとり」という感じです。
山形の芋煮でよく使われているのも土垂です。(山形には在来品種もありますが)
また、関東でお正月によく食べられてきた「八つ頭」という品種は、
土垂よりももっと「ねっとり」しています。
お月見の十五夜に使う「石川早生」も「ねっとり」していますよね。
だいたい関東で馴染みのあるサトイモは「ねっとり系」なのです。
関西では、赤芽とかセレベスと言われるサトイモが主流です。
このサトイモは、「ほっこり」タイプのお芋です。
また、京都好まれている「海老芋」というサトイモ(エビのように形が反っているいるから)は、
「ほっこり」&「ねっとり」の中間みたいで、関西と関東の芋の良いとこどりみたいな感じの芋です。
(海老芋の主な産地は静岡県です。残念ながら京都ではありません。)
九州の方では、「京芋(たけのこ芋))」が好まれています。
長芋のように細長い芋で粘り気やほっこり感がなく、
さらっとしている芋で肉質はちょっと粗い感じです。
このように、地域によって里芋といってもよく食べられている品種が違いますし、
味わいがかなり異なります。
また里芋は、その土地の土質の影響を大きく受ける芋ですので。
同じ品種の芋であっても、産地によって味わいが異なったりします。
里芋には親芋、子芋、孫芋がある
サトイモは、親芋を植えると、そこから子芋が周囲にできてきます。さらに子芋の先に孫芋ができます。
サトイモは子芋や孫芋を食するものが多いのですが、品種によっては、親芋も食べられます。
掘りたては土がついていますし、細い毛のような根が沢山ついています。
ケバ取りをして洗って出荷しています。
おっぺし芋
子芋の周りの孫芋は柔らかくておいしいのですが、小さいから料理しにくい芋です。
ですから、千葉では「おっぺし芋」と呼ばれてきました。
(おっぺすというのは千葉の言葉で、捨てるという意味)
私も、昔成田で近所のおばさんの家で里芋を掘って分解しているときに、孫芋をおっぺすので
捨てちゃうの?と聞くと「そんな小さいの食べないで大きいのをたべろ~」と言われていました。
でも、もったいないからもらって帰って蒸して食べていました。
サトイモはあまり人気がない?
サトイモは、生産量も販売量も消費量も減少している野菜の一つです。
あまり人気がないということです。
理由としては、食生活の西洋化によって煮物需要が減少したこと、
手が痒くなる等下ごしらえが面倒で、時短・簡便な調理用野菜ではないことなどが挙げられると思います。
でもその一方で、誰かがおいしい里芋の煮物を作ってくれるなら、食べたいという声も時々聞きます。
サトイモは和食の素材という概念が強いのですが、
味にクセがないので、ちょっと工夫すれば洋食や中華やエスニックなどかなり万能的に使える野菜です。
ですから、ぬめり対策&時短・簡便にする方法さえあれば、もう少し見直してもらえる野菜なのです。
しかも、サトイモは、サツマイモやジャガイモと比較すると低カロリーで、糖質も比較的低いので、
ジャガイモやサツマイモの代用として料理を工夫することも可能です。
里芋は電子レンジ調理が向く
そこでまずぬめり対策&時短・簡便でお勧めするのが、レンジ調理です。
(電子レンジ調理は万能だと思っている方もいるかもしれませんが、野菜によって向き不向きはあります。
不向きな場合は工夫が必要です。)
サトイモは水分量が多い芋なので、電子レンジに向いている野菜です。
洗って、上下を切って、皿に並べてラップをして数分かけて、串をさして入るぐらいまで
柔らかく加熱します。(その後加熱調理する場合は、8.9割の柔らかさでOK)
すると、スルっと皮が剥けます。(なるべく凹凸がない芋を選ぶほうが剝きやすいです。)
そこから焼いたり、揚げたり、炒めれば、
手が痒くならないし、すでに柔らかくなっているので時短・簡便調理になります。
電子レンジを使った「里芋と鶏の煮物」(オリジナル)
里芋の煮物の普通の作り方は、サトイモの皮を剥いて、ぬめりをとって調味料を入れてコトコト煮ます。
ここでは、電子レンジを使って時短調理で作る方法をご紹介します。
この方法だと、煮る時間を短縮できて、煮崩れしにくくきれいに仕上がるという利点もあります。
①里芋を洗って、皮を剥いて、塩をまぶしてぬめりをとって洗う
(大き目ならば縦半分にカットする)
②①を耐熱皿に並べラップをして電子レンジで加熱する
(量とワット数にもよりますが、だいたい3~4分程度はかかります)
透明ぽくなりかけて竹串でさしてみて、スーッと入れば(8割程度)大丈夫です
②鶏モモ肉は一口大に切る
③鍋に②の鶏肉と水を入れて、中弱火で加熱して、アクをすくい、
砂糖、酒、醤油(私は薄口醤油を使用)、塩を入れて味付けをしておく
④里芋を③に入れる
⑤3分位煮て柔らかくなっていたら火を止める
*調味料は温度が下がっていくときに細胞に入って味が染み込むので、
放置して染み込ませる時間が大切です。
あとは温め直して食べるだけです。
電子レンジを使った「里芋のフライドポテト ハニーマスタードソース」
(オリジナル)
里芋は、ジャガイモやサツマイモの代用にもなると話をしました。
電子レンジで柔らかくしてから揚げたフライドポテトです。
これは最初に皮を剥かないので、痒くもなりません。
添えてあるのはハニーマスタードソース(マックのナゲットのマスタードソースの味)
で、しっかりとしたソースなので、サトイモの独特な香りがちょっと気になる方にも
食べやすくなっています。もちろんお子様にも人気がある一品です。
【作り方】
里芋 約300g(5~6個)
塩 適量
小麦粉 大1
片栗粉 大2
揚げ油 適量
(ハニーマスタードソース)
マヨネーズ 大1
マスタード 大2/3 (辛くないもの)
はちみつ 大1
牛乳 小1/2
塩 少々
1.里芋は洗って上下を薄く切り取り、レンジで加熱をして少し冷めたら皮をむく
(キッチンペーパーで包むようにするとむきやすい)
2.大き目の里芋なら半分にカットする
3.芋をいれて塩をまぶす
4.ビニール袋に片栗粉と小麦粉を混ぜ、その中に里芋を入れてからませる
5.余分な粉をはたいてから、中温の油できつね色になるまで揚げる
(れんこんはスライスして水気を切って素揚げ)
6.ソースの材料を混ぜる
里芋の選び方
サトイモは、良いお芋を選ぶことが大切なポイントです。
なるべく形がよく、筋模様がしっかりとしているもの、凸凹がなるべくないモノ、
傷んでいないものです。
(剝きやすい事が、きれいに仕上がることに繋がるので、私はかなり真剣に選びます)
最後に
日本古来から食べられてきた里芋が、食生活の変化や調理機会の減少で、
生産量も消費量も減少しています。
このまま里芋料理がなくなるのは個人的にすごく寂しいです。
今回ご紹介したように、
調理の工夫や食べ方の工夫で、欠点と思われている部分を
解決できることもあります。
時代にあった食べ方で、ぜひ生き残っていってほしいと願っています。