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さる2023年2月15日~18日 幕張メッセに於いて開催された「スーパーマーケットトレードショー2023」の出展コンサルティングを行いました。

今回支援させていただいたのは、山形県置賜郡川西町のかわにしオーガニック推進協議会です。
オーガニックプロデューサーとして、有機農産物の販路開拓支援をおこなっている一環として
展示会に出展することになりました。

スーパーマーケットトレードショーは、FOODEXと並んで、国内最大級の食品の展示会です。
大手食品メーカーから、各地の小規模な事業者までが出展しているので、食品業界のトレンドなどを
感じられる機会でもあります。

出展目的を明確化することが重要

弊社はこれまで、農産物関連の事業者様や団体向けの販路開拓支援のコンサルティングを行ってきており、展示会や商談会の支援をさせていただいています。
「せっかく出展したのに思ったような反応がなかった。。。」という声を聞くことがあります。
ターゲットが異なる展示会に出展すれば、思ったような反応はありません。それ以外にも、そもそも出展目的があいまいで、なんとなくいい結果を期待していたのにそうではなかった、といった残念な話も聞きます。

食品流通が多様化している中で、取引形態も様々になっていますので、本当に展示会や商談会に出展することが、自社にとってメリットがあるのかどうか、事前によく考えておくことが大事です。

さらに、出展を決めたなら、よい結果を出すためには、出展目的をきちんと明確化しておくことが一番重要です。でも、意外にそれをしていない所が多いのです。

弊社は、出展する前にどの展示会に出展するのがよいのかという選定のご相談から、あるいは出展が決まったタイミングから支援をしています。
まずは目的をどうするか話し合って関係者全員に共有します。担当者だけがわかっていればいいというのではなく、当日その場で関与する人全員に共通認識をもつことがポイントです。

展示会は商談に繋げるステップ

あまり出展経験のない企業や団体ですと、展示会に出展すれば商談に繋がると思っている場合もありますが、そんな簡単に商談に繋がりません。ですから、出展目的は、商談に繋げるためのステップとして捉えたほうがよいと思います。

また、商談会と展示会は異なります。商談会は、来場者が商談をする意志をもって来場しますが、展示会は、来場者は、何か探している、情報を得たいなど様々な目的で来場している人が多いのです。

ブース作り

展示会のブース作りは重要です。お客様に立ち止まって商品を見てもらう、話を聞いてもらうためにはどうしたらいいかを考えます。ブースの広さや位置、あるいは予算によって、どのようなブースを作るかが決まります。

今回はブースが大きくない、ポスターなど新しいものを作る予算がないなどの制約がありました。さらに、展示物が有機米だけということでしたので、どう考えても地味なブースになってしまうことが想像できあmした。

米はただ袋を並べても、インパクトに欠けます。そこで、今回直接的な提案品ではないのですが、川西町の大豆を展示することを提案しました。川西町は大豆などの豆類(紅大豆が特産)の生産もさかんですし、豆の有機化も目指しているからです。
スペースやレイアウトの関係上、2種類の豆と精製した白米と玄米のみのディスプレイとなってしまいましたが、赤い大豆はとても珍しいので、それを見て足を止めてくださるお客様や、これが欲しいというお客様もいらっしゃいました。

赤いのが紅大豆

アンケートと試作品の配布

今回の出展目的の一つは、川西町が「オーガニックビレッジ」として、有機農産物生産拡大に向けて動いてる市町村であることを知ってもらうことでした。しかし、そもそも実需者の方々がどのぐらい有機農業への興味関心があるのか、生産者側がよく理解できていない様子でした。生産者と実需者の間に卸業者がはいってしまうと、直接お客様の声を聞く機会はほとんどなくなってしまうからです。

そこで有機農業に関するアンケートを実施して、有機農業に対する期待やニーズ等を把握することにしました。アンケートに答えてくださった方には、開発中の秘伝豆で作ったパスタのサンプル品を粗品として提供しました。

アンケートはお客様に記入してもらう方法とヒアリングする方法があります。今回は、なるべくお客様と対話して、項目以外の情報も聞き出せるように、ヒアリング方式にしました。

ヒアリングは、協議会のメンバーの皆さん(生産者や行政スタッフ)が行いましたが、思った以上に沢山の人が足を止めてアンケートに協力して下さいました。足を止めてもらうための工夫をしたからです。(それはちょっと秘密ですが)

アンケートを通して、有機農産物への興味やニーズがあること、どのような品目のニーズがあるか、取引先として、従来以外の業種業態の方々が考えられることなどが肌で感じられたようです。

実際にヒアリングをした方々から、アンケートは大きな収穫だったという声や、自分達がやっていることに自信がもてたなどのコメントを貰いました。

ヒアリング方式のアンケート

商品説明

単一企業であれば、商品説明は基本的に誰でもできます。しかし、組合や協議会などでその地域の商品を紹介する際ですと、他の人が作った商品をどう説明したらいいか困ってしまいます。そこで情報を共有するためのツールを事前に準備しました。あまり時間がなかったので、充分なものが作成できなかったのですが、メンバー同士の理解を深めるきっかけにもなったと思います。同じ地域の他の人が何を作っているかを知って、距離を縮めるきっかけにもなります。

試食をするかしないか

今回の展示会では試食は行いませんでした。お米はその場で炊いたものを提供しても、正直言って違いがわからないと思っているからです。私は、味がわかりやすいもの、調味料やタレなど他のメーカーの商品との違いがわかりやすいものなどは、試食したほうがよいと考えています。

試食を提供する際に注意しなければならないのは、目的にあった提供の仕方をすること、オペレーションを考えることです。まったく新しい商品を提供するのか、既存の商品の販売拡大をするのかによっても試食方法が異なります。
また、試食を提供するためには人員の確保が必要ですし、ブースの広さなども考慮しなければなりません。

協議会のメンバーと事務局の方々

振り返りをする

そして最後にもう一つ大事なことがあります。終了後に振り返りをすることです。
これは他の仕事でも共通して言えることですが、意外にやりっぱなしにしておく所が多いのです。展示会に出展したメリットを次に繋げるには、目的がどのぐらい達成できたかをきちんと関与者で共有しておく必要があります。

展示会に出展していきなり商談に繋がらなくても、この振り返りを行っておくことで、次にどういうアクションをすべきかを共有しやすくなるからです。協議会などいろいろな人が集まっている場合は特にこのことは重要です。

今回は協議会への支援でしたので、どうしても関与者が多くなります。そうなると事前の情報共有と目的を遂行するために会場でのモチベーションを上げるかが、私が懸念していた課題でしたが、その点はクリアできたと思います。

ヒアリング形式でアンケートを取ったことがない方がほとんどだったと思いますので、歩いている人に声をかけるだけでもドキドキだったと思います。しかし、お客様への声のかけかた、聞き出し方など各人が工夫しながら行っていただいたことで、目標枚数もクリアできましたし、中身のあるアンケートが取れました。
参加して下さった協議会の皆さんがとても前向きで頑張って下さったことに感謝しています。