2026年1月20日(金)に次代の農と食をつくる会において、
「農産物プロデューサー新田美砂子さんに聞く、オーガニックビレッジ事業の鍵
 ~相互理解と関係性の構築~」というテーマでオンライン講演をさせていただきました。

この会は、主にオーガニックビレッジ事業を検討あるいは現在推進している市町村の行政担当者を主な対象として行ったもので、当日は全国の約20の市町村からご参加いただきました。



次代の農と食をつくる会は、オーガニックプロデューサーをオーガニックビレッジ事業を推進する市町村に派遣しています。私もオーガニックプロデューサーとして支援をさせていただいたり、弊社独自で市町村支援をしてきました。

これまで行政担当者向けにフォーカスした講演はほとんどしてこなかったのですが、
私がやってきたことが何かヒントになればと思っていたところに、このような機会をいただきました。

行政担当者が推進の鍵になる

私自身がいくつかの市町村でこの事業に関わってきて、一番感じたことは、行政担当者の方々がどうやって推進すればいいのかよくわからなくて困っているということです。なぜならばこれまでの有機関連の事業とはまったく毛色が異なるからです。

特にこの事業は、主体が農業者ではなく行政側にあるので、行政担当者の負荷は大きくなります。
ということは、行政担当者がどのぐらい情報やノウハウを持っているか、それを実行できるかが、この事業の推進の鍵となるわけです。

今回のオンライン講演では、
私のこれまでやってきたことの事例の紹介と共に、農業者同士、地域内の住民、実需者、農業者の関係性の構築のポイントなどをお話しました。

農業と地域は切り離せない

農業は農業者だけの問題ではなく、地域全体と大きく繋がっています。
ですから、有機農業をどう広めるかというだけでなく、もっと根幹的に地域で持続可能な農業を続けるためには、地域との連携が必須だと思っています。

有機農業を推進するためには、まず作る人を増やしたり、面積を拡大することが必要なのですが、
そのために、有機農業の実践的・技術的なノウハウを伝えることに注力する所が殆どです。
そういった中で、私の支援内容はちょっと異色なのかもしれませんが、
オーガニックの産地づくりをするためには、モノ作りのノウハウだけでなく、
従事する人達をどうつくるか、
どうその気にさせるかということもとても重要
だと思っています。

その一つの方法として、私は会議のやり方を変え、講演よりもワークショップを沢山行ってきました。
その結果、人が変わり、地域が変わり始めたのです。

ワークショップは農業や地域課題解決に有効

ワークショップは、ちょっと誤解されがちです。
人によってはなんだか遊んでいるみたいだと思う方もいるようですが、そんなことはありません。


対話するための工夫を散りばめて、本音で話し合える安全な場を提供するために、
様々な工夫をします。
農業や地域の問題は背景がそれぞれ違うので、
企画段階で現状をヒアリングしてゴールを設定して組み立てます。


私は昨今の農業の問題はとても複合的で複雑です。
気候変動への対応、高齢化問題、環境問題など多岐にわたります。
しかも、多種多彩なスタイルがあり、考え方も色々で、独立志向や個性的な人が多いのも特徴です。

ですから、会議形式では、合意形成がしにくくなっています。
もっと丁寧に一緒に考えて積み上げていくという過程が必要になります。

つまり、これまでの当たり前のやり方をしているのでは、上手くいかなくなっているのです。
ですから、新しい時代の新しいやり方、繋がり方を作り上げる方法としてワークショップは有効なのです。

そうはいっても、
特に行政関係の場合は、これまでずっと会議形式でやってきたのを、
ワークショップ形式に変えるのには、ちょっと勇気も必要です。
しかし、私が提案してみて、「やってよかった、見えなかった課題が見えてきた」という意見を
沢山いただいています。
それは、行政と農業者や地域の関係者のそれぞれの想いが一方通行でなくなるきっかけになるからです。

参加者からのコメント

特に関心があった内容として挙げていただいたのは、
・オーガニックビレッジ事業の特性
・取り組む上でのポイント
・川西町での有機転換事例 でした。

 他にも、商談会出展の目的設定や準備、地域事業計画の策定、協議会の在り方、地域農産物の商品開発(大学などとの連携)、マルシェやフェアなどの企画運営などの話にも興味をもっていただいたようです。

参考になった具体的な点としては、
・会議の持ち方やワークショップの勧め方や設計など、積極的に関わる人を増やす部分に
 ついて聞け、大変参考になりました。まちづくりとリンクしながら考えていく内容と
 受け止め、今後も進めて行きたいと思います。

・私達の市町村は、有機米精算の技術的な検証を行ってきましたが、生産工程を
 農家の方に示すだけでは普及が見込めず、有機米生産の動機づけ、普及啓発などの
 取組みを優先させ、農家の生産モチベーションをあげるような誘導策を考えなければ
 ならないと感じました。

・有機農業推進の鍵は、心理的なハードルを下げる事という言葉

・オーガニック産地づくりの5つのポイントが聞くことができたこと

・技術面のみでなく、ネットワークづくりなども必要



今回の内容が少しでも関係者の皆様の少しでもお役に立てたならば、幸いです。

内容にご興味のある方、あるいは支援を検討したい方は、
次代の農と食をつくる会の事務局、あるいはコートヤードまでご連絡下さいませ。