農林水産省では有機農業の更なる推進に向けて、有機農業の実態や課題を把握し、目標達成に向けた取組の方向性を検討するため、多様な有機農業関係者との意見交換会を開催しています。
さる、2025年9月の第五回意見交換会に参加して、弊社の取組みの紹介と、今後への課題について意見を述べさせていただきました。

オーガニックビレッジ事業

農林水産省は、2050年までに化学農薬・肥料使用量の削減、CO2ゼロエミッション化、有機農業の拡大などを目指す「みどりの食料システム戦略」を推進しています。 その推進事業の一つとして、有機農業に地域ぐるみで取り組む産地(オーガニックビレッジ)の創出に取り組む市町村を増やす取り組みを行っています。現在既に約120市町村がこの事業に取り組んでいます。

弊社は、ここ4,5年間、その事業を支援するオーガニックプロデューサーという立場で地域に入り、この事業の支援をしてきました。
この事業は、「農業」×「地域づくり」というとても珍しい形の事業です。
有機農業を拡大させるために、機械を購入する資金の補助をする等の直接的な農業支援の補助金ではありません。ですからある意味、どう展開するかがとても難しい事業です。

地域内の有機農業の立ち位置

そもそも、長い間、地域内で有機農業者は各地で慣行農業に対してアウトロー的な存在とされてきました。
みどり戦略によって、有機農業の拡大がうたわれ、急にフォーカスされたような感じです。
各地での農業の特性やそれまでの歴史や背景がありますので、有機農業や有機農業者を地域内で増やすのは、そう簡単なことではありません。
また住民の方々も、どの人が有機農業をしているのかも知らない、やっている人がいてもその人の農産物をみたこともない、どこで買えるのかもまったくわからないという状態の市町村が多いのです。
つまり住民と地域有機農業との接点が殆どないということです。
そのような状態で、その地域をオーガニックビレッジにしていくというのは、なかなか大変だということは
想像していただけるのではないでしょうか。

本質的な課題の解決

しかし現地に通い3年間で新たに7名の有機農業に携わる人を増やしました。
なぜ増えたのかというと、本質的な課題に取り組んだからです。

私の行った取組みの話をすると、「新田さん、すごく面倒なことをやってるんですね」と
よく言われます。自分でもそう思います(笑)

学校給食に有機農産物を活用するとか、有機栽培の勉強会をするとか具体的な施策はすぐにでもできます。
しかしお金(補助金)があるからやってみるか、、という姿勢で臨むと、お金が切れたら続かないのです。よくあるあるな話です。お金の切れ目が縁の切れ目になってしまいます。
持続可能性を考えれば、有機をやってみたい、活用してみたいという「想い」をしっかりと増やすことの方が大切なのです。

有機農業の産地づくり

といっても人の心を変えるのはそんなに簡単なことではありません。
たしかに、面倒なこと、大変なことです。しかし私は技術や物流などで支援できない代わりに、
人と人を繋ぎ、人を育てて、「有機農業の産地づくり」の支援をしてきました。

私が取り組んできた内容を簡単にまとめて、先日農水省の意見交換会で発表し、今後の有機農業拡大への課題について意見を述べさせていただいた次第です。

意見交換会の資料は農林水産省HPのこちらからご覧になれます。
https://www.maff.go.jp/j/seisan/kankyo/yuuki/r7_iken/250911.html