4月になり春本番になってきました。
春といえば、「山菜」の季節ですね。
店頭でも色々な山菜が売られています。
ところで山菜と野菜の違いについて考えたことがありますか?

山菜とは

そもそも山菜とはどのようなものを指すのでしょうか?
山菜とは、山野に自生している植物で食用に適しているものの総称です。
日本の長い食文化の歴史の中で、各地に自生する多種多様な植物の中から特に食用として選ばれてきたものです。
ハマボウフウやオカヒジキなどのように海浜に自生する食用植物も含まれています。
(ちょっと意外ですね)
一方、ノビルやヨモギは、山野ではなく平地の土手や道端に自生している植物で食用なので、
山菜とや呼ばず、一般的に野草と呼ばれています。

野菜とは

野菜も「野の菜」という字のごとく、もともとは野山に自生していた植物です。
私達の祖先が、野山でとってきた植物を食べたら、美味しかったので、
もっと食べたい、もっと美味しく食べたいと思って、
種をとって栽培して沢山食べられるようにしたり、
もっと美味しく食べやすく作りやすくするために
品種改良をされてきたものが「野菜」です。

ちょっといい方を変えれば、もともとは山菜だったものが野菜になったとも言えます。

フキとワラビ

山菜と野菜の違い

山菜は野山に生えていたものを採ってそのまま食べるものです。
そして、野菜は山菜に人が手を加えたものです。
つまり、山菜と野菜の違いは、野生種(人為的に手を加えていない)であるかどうかです。

山菜が野菜になっていく

ところが、今店頭に並んでいる山菜を見ると、
野山で採ってきたものもあれば、栽培しているものも売っています。
ごちゃまぜ状態です。

山菜と呼ばれているものでも、実質上すでに野菜になっているものもあります。
身近なものとしては、セリ、ミツバ、フキ、ウド、ワサビなどがあります。
これらのものは、一般的にほとんど野菜と認識されていますね。
中にはハウスなどで通年栽培されているものもあります。

赤フキ(秋田)

最近では、まだ多くの人が山菜だと認識している
タラノメ、ワラビ、ゼンマイ、ウルイ、ギョウジャニンニクなども
栽培されるようになってきました。
もう少ししたら、野菜という認識されていくでしょう。

山菜と呼ばれていて栽培されているものの中には、
天然に近い状態で栽培しているものもあれば、ハウスの中などで栽培されているものもあります。

先程ごちゃまぜ状態と言いましたが、山菜と野菜の境目が曖昧になっているのが現状です。
そして、美味しくて人気のある山菜は野菜化しているのです。

タラの芽 栽培ものの株

店頭に並んでいる山菜が、本当に野山から採ってきたのか、栽培されてきたものなのかを
区別するのは難しいと思います。
ただ、「天然もの」と書いて区別している場合もあるので、それが書いてあったら
間違いなく野山からとってきたものだとわかります。今では天然ものはとても希少です。
一般的に天然ものの方が、香りや味が濃く、その分アクも強い傾向があります。

天然ものと栽培もののどちらが良いという比較はできませんが、
この時期にしかない旬の味を楽しんでもらえればと思います。

秋田の天然ものわらび

山菜のえぐみや苦み

多くの山菜にはえぐみや苦みがあるのが特徴です。
(栽培されているもの、品種改良されているものは弱い場合もあります。)
野山に生きている山菜は、子孫を残して命を繋いでいかなければなりません。
ですから、動物や虫に食べられたり、害を受けないようにするために、棘で近寄らせないようにしたり、有毒な成分を自ら作って、もしかじったら美味しくないものと認識させたりしているのです。なので山菜は苦かったり、えぐ味や渋味があったりするのです。

苦み、えぐ味、渋みの正体は、アルカロイドという天然由来の有機化合物やポリフェノール類、シュウ酸など刺激のある物質や栄養の吸収を妨げる物質などです。
所謂私達が「あく」と呼んでいる成分です。
しかし、これはその場所で一生を終えなければならない植物の防衛手段ですね。

しかし人間は火を使うことを覚え、「あく抜き」という方法で苦味、えぐ味、渋味を和らげる方法を見いだしたので、私達はそれをおいしく食べられるようになったわけです。

わらび採り(こちらは個人のわらび畑 埼玉)

野山の恵みのパワーをいただく

山菜にはビタミンやミネラル、食物繊維なども含まれています。
それだけでなく、長い冬から目覚めて地上に芽吹くものにはパワーがあります。
昔から山菜の苦みやえぐみが、冬の間冬眠していた体を呼び覚ます、老廃物を輩出すると言われています。
これから春本番に向けて代謝をアップさせるのに山菜を楽しみながら食していただけたらと思います。

あく抜きが面倒というけれど、料理というのは本来手間のかかるもの。
手間をかけていただくからこそ、一層美味しく感じるし、実際においしくなるのです。
タイパやコスパだけで考えないで是非、山菜を料理してみて下さい。

山菜は和食ももちろん美味しいですが、こちらではちょっと洋風な料理をアップしておきます。

山菜とつぶ貝のオーブン焼き(オリジナル)
写真の説明はありません。
わらびのピクルス(オリジナル)