食のSDGsというと、「食品ロス」や「もったいない」ばかりが取り上げがちですが、
食に関連するSDGsはそれだけではありません。大学の講義では、私達の食生活と持続可能な開発目標が
どう繋がっているのか、どこが課題なのかを一緒に考えています。

何となく知っているから理解を深める機会

国連サミットで2015年に採択された持続可能な開発目標(SDGs)は、ご存じの通り
17のゴールと169のターゲットから構成されています。
世界中ですべての国々、地方自治体、企業、団体、そして個人が取り組むべき課題であり、
近年は、各企業のSDGsの取り組みが盛んになっています。
ただ、このSDGsの17のゴールはパッとみただけでは、ちょっと理解しにくい部分もあるので、
何となくは知っていても、実はあまりよくわかっていないという人や組織も多いようです。無理やりSDGsに紐づけたり、自分の都合の良いように解釈しているような例も見受けられます。
この開発ゴールを実現するためには、きちんとした信用のおける筋の解説を読んだり、話を聞いたりする機会が求められていますが、大学などで社会人向けのSDGs専門講座なども開設されているようです。大学生にとっては、まだまだ学習の機会がありそうでないようですので、私は大学の講義でSDGsを理解するための講義を行っています。

国連WFP 学生向けのYoutube動画 「SDGSって何だろう」 
とてもわかりやすい動画で大人にもお勧めです。https://www.youtube.com/watch?v=UoCaAKgFk64

まずはマクロな観点からSDGsを考える

大学の「環境と食文化」の講義では、SDGsと食について各回でマクロ的な観点とミクロ的な観点の両方から考えてもらうための知識とワークショップを織り交ぜています。
この講義(14回シリーズ)の第一回目は、水について学びます。
水の惑星といわれる地球と水について、地球環境の現状を踏まえてから、より身近な水について(例えば水道水のこと、ペットボトルの天然水のことなども)学び、最後は硬水軟水など味の違いまで体験してもらっています。

身近なテーマからSDGsについて考える

身近な食とSDGsについて考える回も設けています。
学食の「割りばし」や、コンビニの「手前とり」など、学生にとって身近なものをテーマに取り上げて17のゴールを理解できるように工夫しています。
また、ペットボトル飲料は学生達にとってとても身近なものですが、ペットボトルの水を何気なく買って飲んでいることが、SDGsとどう関わりがあるのかを考えてもらうグループワークも行っています。
また、地球にやさしく、人にもやさしい社会を創るための工夫には、正解はないこと、それぞれの立場によって考え方も異なったり、取組み方法が異なるけれど、まずは自分なりに考えることから始めてもらっています。

大学のグループワーク発表

グループワークの他には、食品ロスの問題を掘り下げて考えるために、「もったいないキッチン」などの映画鑑賞なども講義に盛り込んでいます。
また、「もったいない」を減らすために必要な知識として、「食品の保存」の様々な方法についても学び、実際に保存食をつくるワークショップなども行っています。

知識&体験学習

食の未来を創るためには、知識&体験学習で、知っているからわかる、出来る人を一人でも増やしていくことが重要だと考えています。
時々、「よくこんなに大変な講義(ワークショップ)をなさっていますね」と言われることもあるのですが、私が2時間沢山しゃべっても、ネットの情報を見ても、「こういうことね!」と腑に落ちないと本当には理解できないですし、自分なりに工夫することもできないと思います。学生一人一人には、その人なりの豊かな食生活を実現してもらいたいと願っているので、手間はかかるのですが、座学(知識)&体験型講座(ワークショップ)に力を注いでいます。