2019年10月1日 食品ロス削減法が施行されることになりました。
事業者も今後、それぞれ食品ロスに向けて具体的な行動が求められるようになります。
食品ロスの削減するメニュー作りは、SDGsの17のゴールのうち、主に
「12 作る責任・使う責任」
「15 陸の豊かさを守ろう」
「14 海の豊かさを守ろう」
という目標に近づくための具体的なアクションです。

おいしさよりも見た目が重要視されてきた歴史

日本の農産物は、長い間、見た目や揃いを重要視してきました。
例えば、きゅうりの箱を見ると、一定の長さで曲がらないまっすぐなキュウリでないと2段に綺麗に箱に収まらないようになっています。
長すぎるキュウリ、曲がったキュウリは入らないのです。長さや曲がりの角度は、規格で厳格に決められています。
大量生産大量販売のためには、効率化が重要な課題であり、そのために規格が整備されてきました。
そのため、食味よりも、見た目や揃っている事が重要視されてきた訳です。
私達は見かけがよいものが美味しいもの、と刷り込みがされているといってもいいでしょう。

トマトのサイズと色を測る道具

見た目が悪くても美味しいと買っていただける

だいぶ前に、都内マルシェでB品の高糖度トマトを販売していた時期がありました。不格好だったり、チャックみたいに傷があったりする見た目は悪いが味はよいトマトです。実際に試食を出すと、その美味しさに納得いただけて売り切れていきました。
見た目が悪くても、中身は美味しいものがあります。また、ホウレンソウなどのように、フィルムから飛び出てしまうような丈が長めのほうが、実は美味しい場合もあります。

チャックトマト 見た目悪いが美味しいトマト

規格外品は形の質もバラバラ

最近は、規格外品が売られていたり、規格外品を活用した商品が出てきたりして、少しずつ意識が変化しているのを感じます。
しかし、規格外品というのは、実は扱いにくいものです。
いつでもない、量が一定でない、質も一定、形状も一定でない。
バラバラなものを一括りで活用することは難しいのです。

試食を出せば、見た目が悪くても売れる

規格外品は手間がかかるから敬遠される

規格外品は、加工や処理にとても手間がかかります。
場合によっては、規格外品自体が安価であっても、処理の手間は通常の2倍、3倍かかるので、コスト的には通常品と変わらないか、もしくはもっと高くなることもあります。
外食などの実需者は規格外品を使いたいという想いがあっても、人手不足の中で、手がかかるので、なかなか使いづらいという現実があります。

一次加工、二次加工の連携の例

西日本のあるスーパーさんの取組みでは、直営農園で収穫した農産物を関連の社会福祉法人と提携して、そこで規格外品も含めて、下処理(一次加工)を行って中食、外食、スーパーなどに輸送するケースもあります。(農福連携)
このように、産地と一次加工と二次加工(外食、中食)が連携して新しい取り組みを行うことも。サスティナブルな規格外品の活用に繫がるのではないでしょうか。

規格外品の活用はケースバイケース

規格外品の商品化やメニュー化のご相談をよく受けるのですが、アイテムによって、生鮮品としてそのまま販売したほうがよいケースと、加工して活用したほうがよいケースがあります。こうしたらいいとは、一概にはいえないのです。
殆どがケースバイケースなのです。状況をお聞きした上で、その素材の活用法についてアドバイスをさせていただいています。

生産者とサスティナブルな関係性

規格外品をもっている生産者や製造者は、規格外品は廃棄しないで少しでもお金に還元したいと思うのは当然です。しかし、規格外品は全体の一部で、それをすべて販売しても、全体の売上の一部です。
生産者の本音は、正規品をきちんと売りたい、買ってほしいのです。
なぜそんな事を言うのかというと、業者の中には規格外品ばかりを扱おうとするところがあるからです。「規格外品を集めて売っている」と聞くと、聞こえは良いですが、生産側としては、あまりいいお客さんではないのです。
いいお客さんとは、正規品もきちんと購入して、それに加えて規格外品も一緒に
買ってくれるwinwinな関係を構築出来る人です。
そのような業者やユーザーが増える事が、サスティナブルな農と食の関係性を構築することであり、サスティナブルに規格外品を活用していくポイントではないかなと思います。

「少量生産&効率化」のMisakoメソッド

サスティナブルな商品開発には、今ある資源をどう柔軟に活用していくかという視点が必要です。これまでの大量生産大量消費で生み出された規格外品という食品ロスを削減するには、違う発想が必要なのです。

Misakoメソッドは、農産物をその調理性でジャンル分けして、加工度によって作れる商品(メニュー)を分類する方法です。均一化されてない、大量でない規格外品を商品化できる「少量生産と効率化」を実現させるメソッドの考え方が有効です。

規格外品同士を組み合わせかた

先日の台風15号で被害にあった千葉の農家さんの畑に残った野菜を引き取って、
傷だらけのナスと畑に残ったオクラで自宅で胡麻和えを作ってみました。
胡麻和えという料理は、いろいろな素材で作ることが出来る料理です。
また、ひとつの素材でなく、素材を組み合せて一緒に使うことが出来ます。

規格外品は、単品の量が限られていますので、それだけでメニューを創るのはなかなか難しいことです。しかし規格外品同士を上手く組み合わせれば、ある程度の量を作ることが出来ます。組合せ方、それがメソッドでお伝えしているポイントになります。
もっともっと柔軟に、現場の状況に応じて作る食。それがサスティナブルな食ではないでしょうか。