ブロッコリーが農林水産省の指定野菜に追加されることになりました。
指定野菜になるということは、メジャーな野菜の仲間入りしたということで、
私達の食生活に欠かせない野菜と認知されたわけです。
指定野菜は、国民に安定供給できるように国が生産者に対して様々な支援をしています。
では、なぜブロッコリーはこんなにメジャーな野菜になったのでしょうか?
大谷翔平選手が毎朝食べているから、有名になった??
いやいや、これだけ沢山の人に愛される野菜になるには、何か理由があるはずです。
ブロッコリーの祖先は野生キャベツ
まず、ブロッコリーはどのような野菜でしょうか。
ブロッコリーはアブラナ科の花蕾を食べる野菜です。
その祖先は地中海沿岸の野生キャベツがルーツと言われています。
鮮度保持技術
ブロッコリーはデリケートな野菜で、鮮度劣化が早い野菜です。
ですから、いかに産地から消費地まで鮮度を保って輸送をするかが、安定供給の大きな課題でした。
普通に段ボール箱に詰めてトラックに乗せて輸送したのでは、鮮度劣化してしまいます。
そこで、2000年代になって箱にブロッコリーを入れて氷を敷き詰めて、低温保持をさせる(氷詰め出荷)という方法で出荷されるようになりました。
さらに、コールドチェーンといって、生産地から小売までその農産物にあった所定の温度(冷蔵・冷凍)に保ったまま流通させる手法が確立されました。
畑で収穫してから店頭に届くまでずっと農産物を低温で保てるようになったので、安定的に品質のよい野菜を届けることができるようになりました。
鮮度保持技術が発達したことが、ブロッコリーが身近な野菜になった要因の一つです。
*鮮度保持袋フレッシュママは、花きや野菜の輸出や保管・輸送で用いられています。
ご興味のある方は弊社までご連絡下さい。 info@courtyard.co.jp
食べ方・使い方の認知
どんな野菜でもそうですが、新しい野菜が作られるようになっても、一般に広まるまではかなりの時間がかかります。
珍しい野菜や新しい野菜は、食べ方や使い方がわからなければ、手に取ってもらえません。
ブロッコリーが最初に出てきたときは、変な姿をした野菜、どうやって食べるのかわからないと思われていたに違いありません。
実は新しい農産物を認知・普及させるために、生産者、市場関係者、卸業者、小売業者などは様々な販促活動をしています。
スーパーなどの店頭にあるPOPだったりポスターや、試食をしたり、マスコミを利用したり、レシピを配布するなどの普及活動を行っています。
また、外食のメニューなどで使われることによって、認知度が高まっていくこともあります。
ブロッコリーも様々な普及活動によって認知が高まってきたのです。
栄養価が高い
ブロッコリーの場合、認知度が高まるだけでなく短期間でJ1リーグ昇格みたいな感じで、メジャーになった大きな理由は、栄養価が高い野菜だからです。特に抗酸化作用が高いことで有名になりました。
ブロッコリーの栄養価が高いということが認知されるきっかけになったのが、アメリカの国立がん研究所が中心となってガンや活習慣病の抑制に効果がある野菜をわかりやすくしたデザイナーフーズピラミッドです。
このピラミッドは、上位に行くほど抗酸化作用が高い、つまり免疫力を高めてがんに繋がる活性酸素を減らす効果が高いことを意味しています。
ブロッコリーはこのピラミッドにも入っていて、特にブロッコリーに含まれているスルフォラファンという物質が強力な抗がん作用があることがわかってから、一躍有名になりました。
また、健康意識の高まりという時代背景も大きく影響しました。
より健康的な食生活を送るために、栄養価の高い食品を選びたいというニーズの高まりにマッチしたのです。
存在感があり食べやすい野菜
いくら栄養価が高くても、人気が出るためには、キャラクターが立っていることも重要です。
美味しさが重要なファクターです。
また、本来野菜という食品は肉や魚といった他の食品と比較して、だいたいインパクトのある味ではありませんが、ブロッコリーは味がしっかりとした味わいがある野菜です。
どんな味わいかというと、クセがなくほんのりとした甘さがありますが、苦みやえぐみがありません。さらに、しっかりとしたうまみがあるので食べやすい野菜です。
野菜そのものにうまみ成分(アミノ酸)があるので、茹でてそのままマヨネーズをつけるだけでも美味しく食べられます。
ブロッコリーと他の食材を一緒に使った料理を見てみると、組み合わせている相手は割と味がしっかりした食品です。例えば、ブロッコリーと肉というと鶏肉よりも牛肉のほうがしっくり合います。淡泊な料理よりもしっかりとした味の料理のほうが、存在感のあるブロッコリーの良さを引き出せます。
手軽に食べられる
食の簡便化が進み家庭内では短時間調理が好まれるようになってきました。そんな中、台頭してきたのが電子レンジ調理です。
電子レンジ調理ならば、ブロッコリーを鍋にお湯を沸かして茹でるよりも短時間で、栄養素の損失も少なくすみます。
野菜の中には電子レンジ調理は可能でも、食味的に今一つというものもありますが、ブロッコリーは簡単にレンジ加熱できて美味しく食べられる野菜なので、手軽に美味しく食べられるという時代のニーズにも合っている野菜という側面もあります。
さらに、近年は冷凍野菜の需要が高まっています。使いたい時に使いたい分だけ使えるので便利です。
冷凍ブロッコリーは人気冷凍野菜のひとつです。
使える!お弁当に便利な野菜
ブロッコリーは野菜の中では、かなりインパクトのある形をしていますし、緑色も濃いので目立ちます。
小房に分けてもボリューム感があります。このボリューム感が料理に便利なのです。
料理にブロッコリーを入れると、ボリューム感が増して見栄えがよくなります。
特にお弁当には便利な野菜の一つです。ミニトマトと並んで微妙にあいている弁当箱のスペースを埋めるのにちょうどいいのです。
また、お弁当の見栄えをよくする三色(赤、黄、緑)の中の一つですので、見た目をよくするのにも効果がありますし、隙間を埋めるのにも役立つ一石二鳥な野菜なのです。
そういう視点から見ると、お弁当に欠かせない野菜として定着しているのかもしれません。
時代にマッチした野菜
私は長年野菜ソムリエの講座も担当していますが、
おいしく野菜が食べたい、
野菜で栄養を摂りたい、
効果的に野菜の栄養素を摂取できる調理方法を知りたいという受講生が多くいます。
とくに、野菜に美味しさだけでなく栄養価の高さを求める人が増えているということを実感しています。
そういう時代のニーズに対して、ブロッコリーは栄養が高く、美味しく無理なく沢山食べやすい野菜なので時代にマッチしている野菜だと言えるでしょう。
最後に一つだけお伝えしたいことがあります。
野菜は薬ではないので、食べたからすぐに効果が表れるというものではありません。
長い間食べ続けることで効果が表れると言われています。
また野菜はサプリメントと違って、一つの野菜にはいろいろな栄養素が入っています。
そこが優れた点です。
ですから、野菜を「いろいろ食べる」「おいしく食べる」ことが、無理なく長く食べ続けられ、
結果として健康効果が表れることを知ってほしいと思います。