味噌は発酵食品と呼ばれています。
米麹や麦麹、豆麹などの菌を使って大豆を発酵させたものです。免疫力向上など健康のために、発酵食品がよいと言われています。その代表的な食品(調味料)が味噌ですが、本当に発酵しているもの、いないものが存在します。今日は本物のお味噌についての話をしたいと思います。

里芋と豚肉の味噌汁

昔はどの町にも味噌屋や麹屋があった

地域活性の仕事であちこち行っているうちに知ったことですが、昔はどの町にも麹屋や味噌屋があったといいます。(閉店したそのままの店などを見かけることもあります)
自分のところで出来た米を麹屋にもっていくと、麹にしてくれて、自分の家で味噌を作るとか、味噌やに米を渡すと味噌になって戻ってきたそうです。地域内で食品を製造・加工・消費するサスティナブルな仕組みがあったのですね。
しかし時代と共に、それは消えてしまいました。

大量に流通・販売するための味噌

味噌は、発酵が進めば状態が変化していきます。通常は数か月から1年程寝かせたものを出荷していますが、2年もの、3年ものになると、発酵が進み、風味も色も変化していきますし、製造する温度や湿度といった環境も影響します。

しかし、味噌を不特定多数の人に商品として販売する場合、いつもどこでも同じような状態のものを求められます。
また、流通や小売で取り扱うためには、扱いやすい状態(パック詰め等)する必要があります。つまり食の工業化のためですね。

発酵を抑制する

もし発酵している味噌をそのまま密封した容器にいれてしまったら、容器が膨張してしまいます。そこで、発酵を抑制して一定の品質に近づける工夫がなされてきました。(ワインは一定でないですよね。)
一定の条件下の環境下で、乳酸菌や酵母の働きを抑えて、発酵がすすまないようにしたのです。

酒精とは

その役目を担っているのが「酒精」です。(パックで密封されているお味噌の裏面を見ると、原材料の最後に酒精と書いてあります)
酒精は「発酵アルコール」で、サトウキビやとうもろこし、ジャガイモなどから作られている天然植物由来の食品添加物です。(個人的には、食品添加物は植物由来のものもあり、添加物=すべて悪と考えないでほしいと思っています。)
酒精には、発酵を止め、二酸化炭素(炭酸ガス)の発生を抑える効果があります。 この効果を利用してしているのが、パックのお味噌です

空気孔つきパッケージ味噌

発酵を抑制してしまえば、お味噌本来の風味は弱くなることと、発酵食品としての要素が失われます。
最近は容器の技術が向上して、お味噌が呼吸できる穴つきのパッケージ入りお味噌もかなり登場しています。無添加などと表示されているパックのお味噌はこの容器を使っています。
(蓋の端っこに丸い空気孔が付いている)このタイプは酒精は入っていません。パックのものより風味があると個人的には思っています
(右写真はひかり味噌HPより引用)

出汁入り味噌がポピュラー

食の簡便化の流れの中で、味噌汁作りも出汁の中に味噌を入れる手間を省くために、味噌に出汁をくわえた「だし入り味噌」が多く出回っています。
この味噌はうまみがとても強く感じられますが、味噌本来の味が薄れていて、きちんと出汁を引いてそこに味噌を加えたものとは別の味のように感じます。

食の簡便化の流れの中で、味噌汁作りも出汁の中に味噌を入れる手間を省くために、味噌に出汁をくわえた「だし入り味噌」が多く出回っています。
この味噌はうまみがとても強く感じられますが、味噌本来の味が薄れていて、きちんと出汁を引いてそこに味噌を加えたものとは別の味のように感じます。

サスティナブルな本物のお味噌

お味噌屋さんでお味噌を買ってみよう!

最近は、昔ながらの樽から必要量を購入できるスタイルの味噌を販売している味噌屋さんが激減しています。でも、まだ都心にも少しだけ存在しています。
お味噌屋さんでは、自分好みのお味噌を試食したり、選んだりできます。
一人暮らしでも、好きなものをちょっとずつ買えるので、冷蔵庫の中で化石化することもありませんのでエコですね。

無添加のホンモノの味噌を扱うお味噌屋さんは、サスティナブルな食の担い手であり、私達の健康に繫がる身近な発酵食品の取り扱っている心強い味方です。
ぜひ、お味噌屋さんに行ってみてください!
 *ご参考までに、私がお味噌を買いにいく都内のお店を紹介します
https://sanomiso.com/
https://sakamoto-miso.com/gotanda/

地域活性化や地産地消を応援!

黄かぶの味噌汁

直売所などでは、その地域の大豆や米を使って作られた手作りのお味噌がよく売られています。地域や作り手によってお味噌の味に特徴があったりして、お味噌の世界の奥深さがよくわかります。
こういったお味噌を購入することは、その土地の食文化を守ることや、地域活性に繫がります。ぜひ野菜と一緒に買ってみませんか。

手前味噌を作ってみよう!

最近は自分で手前味噌を作る方が増えています。(昔は私も毎年作っていました。)出来上がるまで待つというのも楽しいものです。
自分で大豆や麹を購入して作ると、原材料のトレサビリティも明確です。余計な包材やパッケージも必要ありませんね。
また、完成したお味噌を通じて、おすそ分け等の人と人の繋がりも期待できます。

本物のお味噌を買う事、作ることが、実は人、社会、環境にやさしいサスティナブルな生活に繫がっているのです。

醸造と発酵の違い (ご参考)

醸造は、発酵の作用によって食品を加工することを意味します。 加工において発酵を利用することでさまざまな食品をおいしく加工することができ、醸造が成立します。 それに対して、発酵とは食品を加工する作用と捉えられています。
発酵によってできたものが「醸造」となります。

私達はよく「発酵食品」という呼び方をします。発酵という作用でできた食品という意味合いで一般的に使っていると思います。しかし商品をみると、「醸造」や「本醸造」という言葉が書いてありますね。商品として表示する場合は、作用を表す発酵ではなく、できたものを表す醸造という言葉が使用されています。