2024年2月19日に岐阜県庁にて開催された「岐阜県有機農業セミナー」で基調講演をさせていただきました。
当日は、生産者、一般消費者、JA関係者、企業、行政関係者などが県内から集まっていただきました。

私からは、有機農産物が特別なものではなくなるために、どうしたらいいのかというお話しをしました。

有機農業を拡大するという話になると、販路を拡大すればいい、需要を喚起すればいい、生産量を増やせばいいという議論になりますが、
ちょっと待って!
その前にもっと根本的な問題に目を向けないで素通りして推進させようとするから、上手くいかないことが多いということをお伝えしました。

根本的な課題を解決する

有機農業や有機農産物には根本的な課題があります。
それは何かというと、
有機農業や有機農産物の情報や知識が、生産者にも消費者にも正しく伝わっていない、
誤解や思い込みなどがたくさん存在しているということです。
これは、私自身が、実際にこれまでたくさんの有機農業者、慣行農業者、消費者と関わってきて強く感じていることです。

新しいアプローチで成果を出す

人は知らないもの、新しいものには必ず抵抗があります。
ですから、いくら補助金が出るからといったり、魅力的な話をもってきても、
人はなかなか振り向いてくれません。

例えば、有機農業のことを誤解したり勘違いしている人達に、
有機農業は素晴らしい、地球環境に優しい、安全な食であるといくらPRしても、
響きませんので、なかなか生産も消費も拡大しないのです。

またこれだけ時代がどんどん進み、地球環境も変化しているのですから、
これまでのやり方を踏襲して進めようとしても上手くいかないわけです。
しかし、頭の片隅ではそれがわかっていても、
ではどうするかという具体的な方法がわからずに困っている人達が多いのです。

この課題を解決するためには、新しいアプローチが必要です。
その実例として、私が実際に山形県の川西町でオーガニックビレッジの事業のアドバイザーとしてコンサルティングしてきた事例を話しました。

実は私はこの2年余り、まったく新しいアプローチでその根本的な解決に注力してきた結果、ここにきてこの事業がいい形になってきたので、事例とポイントをご紹介させていただきました。

ぎふオーガニックマルシェ

当日は、県庁内の食堂前と、セミナー後はセミナー会場外で「ぎふオーガニックマルシェ」が開催されました。
有機トマトで毎年のように賞を受賞されている生産者を始め、めずらしい古代米の「緑米」の餅を作っている生産者、耕作放棄地になってしまい荒れた茶畑の再生をしながら、茎と葉をおいしく焙煎してブレンドしたほうじ茶を製造している生産者など、まだメンバーは少ないですが、それぞれ特徴があって、これからが楽しみなマルシェだと感じました。

特にセミナー後にマルシェが開催されたので、参加者と生産者が交流できる場が産まれたので、とてもよい企画だと思いました。

県庁食堂の前での昼マルシェ
セミナー後のロビーでのマルシェ

川で食と農が繋がる岐阜県

岐阜県は、木曽川・長良川・揖斐川3つの川が流れていて、これらは木曽川水系というの日本国内でも有数の流域をもつところで、水の恵みに活かさされた地域であることを知る事ができました。岐阜県は「清流の県」とも言われています。

今回は事例発表で、オーガニックビレッジ宣言している岐阜県白川町の話を聞きましたが、10年以上前から地域内でネットワークを作っていて、今では地元JAとも連携しているとのことでした。
また木曽川水系で人と人が川上と川下で繋がる、作る人と食べる人が繋がるという「流域自給」という考え方に触れることができました。

食の資源と豊かな水のある岐阜県は、インバウンドにすごく力を入れていて、沢山の海外からの旅行者が訪れていますし、まだまだ食も農もポテンシャルのあるところだなというのが、短時間の滞在でも感じられました。

関東の人が岐阜県の食に触れる機会はあまりないかもしれません。しかし、先日のスーパーマーケットトレードショーでも、地味ですがいい食材が沢山あることを感じました。

今回の講演が、岐阜県の皆さんの少しでもお役に立てたなら幸いです。

すべてのリアクション: