2025年6月22日に開催された福井県主催の「福井県オーガニック・グリーン推進大会」にて、
基調講演をさせていただきました。
福井県が県内の有機農業を推進していく機運を高めるためのキックオフ・イベントとして、滝波農林水産副大臣をはじめ、県副知事をはじめJA関係者、県内有機農業者など140人ほど集まり多く集まり盛大な会でした。

福井県は、2025年6月現在オーガニックビレッジ宣言をしているのは越前市のみですが、これから県内の有機農業を実践してきた生産者の方々を「福井県オーガニックアドバイザー」に任命し、さらに来年度から有機農業を推進するための生産技術・マーケティングなどを学ぶ仕組みを作るようです。
当日の基調講演は3名で、有機農業実践者等による取組事例の一つとして、私は「持続可能な農業を推進するために」というタイトルで、オーガニックプロデューサーとしてお話をさせていただきました。

今回は講演時間が短かったので、私がこれまでオーガニックビレッジ事業にいくつか関わってきて、山形県東置賜郡川西町のオーガニックビレッジ事業で、3年間で新たに有機農業にチャレンジする人をどうやって7名にしたかという話と、他の地域でもこの事業に関わってきた経験を基に、持続可能な農業を推進するためのポイントを整理してお伝えしました。
オーガニックビレッジ事業は他の農業政策関連の事業とは全く異なる事業
これから有機農業を推進しようというキックオフミーティングの基調講演ですが、
良い事ばかりをお話するよりも、実際にやってきた中で、難しいなと感じたことや
課題をきちんと説明したほうがいいと思いお話をさせていただきました。
全国で「オーガニックビレッジ事業」に手を挙げている市町村は120を超え、今もどんどん増えています。
しかし、実際に何をどうやればいいのかわからない、持続可能な取り組みにするにはどうしたらいいのか
わからないという所が多いのが現実です。
なぜなら、これまでの農水省の事業とまったく異質のプロジェクトであり、
農業資材や機械などのハードにお金を出す事業でないので、
事業の目的を理解するのが難しいこと、行政も農業者もどう進めていいのかわかりにくいのです。
講演では、その課題をどう解決したかという具体的なお話をさせていただきました。

各地の共通課題
有機農業を推進していくには、どの自治体でも共通した課題もあります。
有機農業者はこれまで全国各地でアウトロー的存在で、
地域内で、変わり者みたいな扱いをされてきたことが多かったのです。
今でも主流とは言えないでしょう。
それを国が急にフォーカスして推進しましょうといっても、
これまでの根強いイメージや軋轢はそう簡単には払しょくできないのです。
また有機農業者のほとんどは、
JAなどの組織に頼らずに、自ら生産して販路を開拓してきた人が殆どだと
思いますので、しっかりした信念を持っていて一匹狼的で個性が強い方が多いです。
信念が強い分、他者や違う考えの人を排除しようとする傾向も時々みられます。
ですから、地域で一緒に何かをやろう、盛り上げようとしてもそう簡単にはいかないことは、
イメージしてもらえると思います。
有機農業者といっても本当にそれぞれ違う
また、有機農業者といっても年齢層も考え方も本当にバラバラです。
有機農業の世界には、レジェンドと言われる70代位の方達もいますし、
40代位やもっと若い人達、新規就農者の人達も存在します。
それぞれが、「有機農業」「オーガニック」という
同じ言葉を使っていても、まったく目指すところや考え方は異なるのです。
私はどちらの世代の有機農業関係者の方々とお付き合いがありますし、
コロナ前にオーガニックの産官学の協議会にも参画していたので、その違いを
ものすごく肌で感じていました。
バラバラな人達をどう繋げていくのか。。。
これは、とても難しいことです。私もどうしたらいいのか悩んだ時期もありました。
しかし、出口戦略(販路)とか、生産量をどう増加させるかなどをどうするかという課題を考える前に、
それ以前に、やりたいなと思う人が今以上に増えないと、
ニーズがあっても現状の有機農業者だけではどうにもならないのです。
どうやったらどうするか・・・
その打開策として様々な戦略を行った結果、
若い人達の中で有機農業に転換してみたいと言う人達がでてきたわけです。

人が変われば地域も変わる
オーガニックビレッジ事業、あるいは各地で有機農業を推進するためには、
技術的やノウハウの支援だけでは不充分だと私は考えています。
もっと本質的で根深い「有機農業」に対する不安や誤解を払拭したり、
理解を深めるような本質的な課題に向き合って解決していくことが重要なのです。
それも、生産者だけでなく、地域全体の人達の意識を変えていくことです。
しかし現実的には変化を嫌う人が多いのです。
そこをどうするか? そこが私のテリトリーなのだと思っています。
お金(補助金)の切れ目が、縁の切れ目になってしまったら、
いつまでたっても何も変わらないですし、持続可能性がなさすぎます。
本気で持続可能な地域や農業を考えていくのであれば、
ここまで時代や環境が変化している中で、これまでのやり方や考え方を踏襲しても
無理があります。
課題へのアプローチの仕方も違って当然なのです。
是非、そこに気づいて欲しいなと思っています。
オーガニックビレッジ事業も、有機農業も、持続可能な食と農も、
点を面にしていくために仕組み作りも大切ですが、
その前に関係者の人々のの意識を変えることにもっとフォーカスすれば良い結果が産まれやすくなる、
そう信じています。

福井県はコシヒカリを産み出した産地です。
新しいものを産み出す力を潜在的に持っている地域だと思っています。
個人的にも、福井市や永平寺、大野市、鯖江、敦賀、美浜などに行ったことがあり、
豊かな農産物や水産物などの資源が豊富で、とてもポテンシャルが高いところだと感じています。
次世代に繋がる新しい時代の農業が育っていくのを楽しみにしています。
