2022年8月に、関東給食会様 農産部会研修会において「農業の現状と商品開発の可能性を考える」講演とワークショップを行いました。

日本と世界の農業の現状は断片的にしか伝わらない事が多い

まず、第一部では、日本と世界の農業の現状をマクロ的にご説明しました。農産物に関わる業務をしていても、身近な事柄については断片的に情報が入ってくるものの、マクロ的に全体像や現状を知る機会というのは意外とないので、研修でこの話をして欲しいとのご依頼がありましたので、整理してお話しをしました。
日本や世界の農業の現状というとすごく壮大な話ですが、日本の農業の特徴や現状、世界の流れなど大局を掴んでいただけるような情報を提供させていただきました。

SDGsの取り組みへのヒント

SDGsを推進していくために、どう考えて推進していけばいいのかというポイントや、食産業のSDGs取り組み事例や、持続可能性の高い農産物(ケール)を活用してSDGSを具現化していく商品化の例などをご紹介しました。
食産業では、SDGsというと、食品ロス解消と考える事が多いようですが、食に関わる持続可能性のある取組はそれ以外にも沢山あります。自社らしい持続可能な取り組みを推進するために必要な視点についてお話しをしました。


持続可能性のある商品作りに不可欠な商品開発の基礎知識

第二部は、農産物の商品開発についての研修で、まずは農産物を商品開発するための基礎知識、加工品の種類や難易度などについて説明をしました。
いきなり開発関与者が集まって、何を作ろうかという話がスタートしてしまいがちですが、実は一緒に開発を行うチーム内で、開発に関するベースの知識や情報を共有して統一しておくことは、スムーズな開発を進める上でとても重要なことです。また、持続可能性のある商品作りをするためには、その素材をどう活かせばいいかという加工の基礎知識が不可欠なのです。

ワークショップは商品開発に有効

次に農産物を開発する際に最も重要なポイントについて説明した後に、研修参加者をグループに分けて、ワークショップを行っていただきました。
ワークショップでは、会として商品化を考えているプルーン取り上げて、弊社がコンサルティングで使用しているオリジナル手法に添って、プルーンという農産物の加工の方向性を決めていく過程を体験していただきました。

商品開発において、「何をどう作るか」というステップを、ワークショップ形式で行うことはとても効果的です。
ごく限られた人達で、どちらがいいか悪いかだけで判断したり、忖度があるような雰囲気の中で考えるよりも、もっと自由でフラットに話し合える場で考えたほうが、良い商品が産み出される可能性が高いからです。また自分と異なる意見の人と対話することで、参加者自身の開発力も身に付いていきます。
(私はワークショップデザイナーでもあり、企業様の商品開発セミナーなどでは商品開発力をつけるためのオリジナルワークショップも行っています。)

アンケートより

今回の研修会は、ハイブリッド形式で行われました。参加者の皆様からのアンケートで感想をいただきました。その中からいくつかをご紹介させていただきます。

■農業の現状とSDGS

 日本と世界の農業の流れや違いを深く知ることができた。

 改めて現在の日本の農業は厳しく多様性を持たん開ければ、今後農家は減少してくことがわかった。

 SDGsにおいて食品ロスを考えがちでしたが、一つの事象を違う角度から捉えるとSDGsの正解は一つではないという視点で見る事ができるようになった。

 取り扱っている商品の拡販やSDGSの取り組み強化に活用できると思う。

 農業の現状を知ったことで、今後は安定的に供給できる状況でないということもわかり、柔軟に代替品等を勧められるような準備や学校との話し合いも需要になってくると思いました。ケールは新しい品目として興味があり冷凍野菜でできないかと思う。
 

 代替の野菜を使うなどとても参考になった。農家や農業団体との連携についてとても参考になった。

■ワークショップ
 他人の考えを聴くことによって、考え方の幅がq広がって良かったと思う。学生の時に企業とコラボして開発したことがあるが、その時は、本当に何も考えずにやっていたと感じた。

 通常は、需要から商品を見つけて開発していく流れ(マーケットイン)が一般的ですが、今回の講演にて商品から開発していくという考え方(プロダクトアウト)が給食や地域振興につながる新たな方法だと感じました。

 商品開発おいて、多岐にわたる思考項目があるものと理解しました。開発の根幹になるものは、方向性や熱意が大事だということで、それによって目的が変わることがわかりました。その先に顧客のニーズを予想していくフローを自分なりに考えていく材料になりました。

限られた時間でしたが、同業他社で初対面の人達とコミュニケーションをとれる良い機会になりました。自分がその農産物の長所だと思っていたことも、他人は短所だと感じていて、人によって意見があり面白いと思いました。

実際に自分達で販売しているプルーンを加工品にすると考えた時に、どのような価値を提供するかなど、プルーンという素材そのものを考え直すきっかけになりました。素材そのものを理解していないと加工品開発は用意にできるものではないことが理解できました。

最後に

今回ご縁をいただき、関東給食会 農産部会の皆様と研修会で多くの方々とご一緒できたことに感謝いたします。マクロ的な視点と実務的な知識やノウハウの両方を持つことで、持続可能性のある食を創るきっかけになっていただけたら幸いです。
 関東給食会 http://www.kan-q.or.jp/