先月、オーガニックプロデューサーとして、埼玉県小川町のオーガニックでハーブや花を育てている農園にハーブの加工品についてのコンサルティングに伺いました。

小川町は有機農業のふるさととも呼ばれ、歴史がありますが、若い方々も就農されています。
今回伺ったのは、sunfarmという農園で、圃場を見せていただいた後に
現状のヒアリングや、これまでの経緯、想いなどについてお話しを伺いました。

決め打ちしないコンサルティングスタイル

今回は、加工を中心に、今後どのようにしてハーブをビジネス化していくのか、地域とどう繋がって広がりを作るかがテーマのコンサルティングでした。
私の場合、コンサルティング時には、クライアント様が今後の方向性を決めて、具現化するための道筋や方法をいくつか示したり、他の事例や情報提供、展開の方法などをお話ししています。

クライアント様に今後の方向性を考えていただく材料を多く提供することを大切にしています。ですから、「こんなやり方があります。これがいいですよ」という安易な決め打ち的な提案はなるべくしないようにしています。

なぜなら、コンサルタントは、課題解決方法を提案するのが仕事ですが、解決方法は一つとは限りません。なるべくいろいろな道筋があること、可能性があることを提案すること、それぞれのメリットデメリットをきちんと両方伝える事、それが、何をやるのかも決まっていない最初のステップとして重要だと思います。
あまり経験のないコンサルタントが、この段階で、方向性を一つだけしか提案できないのは、他の方法を知らないから、あるいはできないからではないでしょうか。

ハーブのマーケティング

ハーブといっても、その種類によって特性や用途性が全く違うので、フレッシュで販売するにせよ、加工して売るにせよ、戦略は異なってきます。
ハーブはニッチなマーケットではありますが、スーパーでも数種類のフレッシュハーブは青果売り場に常に置かれるようになってきたことを見ても、少しずつではありますが、マーケットは広がっています。
売り場は店舗とは限りません。ハーブの特性を考えれば、体験型ビジネスで体験とハーブを一緒に売ることもできます。

ハーブのマーケット

ハーブのマーケットはどこにあり、どのくらいでしょう?
ハーブは青果としてフレッシュハーブで販売するマーケットと、ドライなど加工して販売するマーケットがあります。また最近は、フレッシュハーブは、花きのマーケットでも扱われています。
3つのどのマーケットもあまり大きくないのですが、マーケットが大きくなければニーズがないという訳ではありません。
ハーブ類は、マーケット規模は大きくなくても、一定のニーズのあるアイテムだと私は考えています。

マーケットが違えば販路が全く異なる

フレッシュハーブのマーケットは、少しずつ拡大しているものの、そもそも生ハーブを一般消費者の需要はまだ多くないのが現状です。
日本人はまだまだ西洋ハーブ慣れしておらず、やっと最近、バジルが一般的になったぐらいですね。
また大手資本で生産されている農園もあったり、古くからのハーブ専門農園もあったりするので、マーケット規模に対して、新規参入してビジネスとして成り立たせるには工夫が必要ですね。

生ハーブのマーケティングのポイント

ハーブ類は相対的に生産自体はそんなに難しくありませんが、生ハーブは出荷調整コスト(つまり人件費)が高く、鮮度の保持も重要なアイテムです。
また他の農園との差別化が難しいアイテムでもあります。
他者との差別化がしにくく、生産コストも意外とかかり、マーケットも大きくない商材で、何を作り、誰にどう売るかを考えなければなりません。

ハーブの加工のポイント

ドライは、ハーブに適した加工方法で、最も簡単な加工方法です。しかし、アイテムによっては退色や香りが弱くなる、粉々になるなどの弱点もあります。
ハーブの種類によって特徴が異なるので、農産物や食品の知識が求められます。
他の加工方法としては、オイルやアルコールに浸出させたりする方法もありますが、これもハーブの特性によって、向き不向きがあります。
加工することで、ハーブのよさをどう引き出すか、そこがポイントです。
ハーブはほぼターゲットは女性。女性のニーズをつかむ必要もありますね。
ドライなどの加工品のマーケットも少しずつ拡大していると思います。
何をつくるにせよ、小規模の生産者が加工する場合のポイントをはずさない事が重要だと思います。

オーガニックハーブの優位性

国産オーガニックハーブはまだレアな商品です。
なるべくナチュラルなものを体に取り込みたいという消費者ニーズは高まっていますので、オーガニックのハーブは需要はあるはずだと考えています。
実際にコスメやシャンプーなどのヘアケア製品をみても、オーガニックハーブ系のものが増えており、その需要が高まっていることがわかります。
オーガニックハーブは嗜好品に近い位置づけだったのが、徐々にデイリーユースの商品に浸透してきています。健康に対する意識の高い消費者に、どういう形で提供するのがよいか、そこを考えるのは難しいけれどやりがいのあるところですね。

農産物マーケティングを失敗しないコツ

農産物に合わせて、いろいろな販売場所や方法を考える、それが失敗しない一番のコツだと思います。
私は時間が少しでもあれば、仕事の合間でもデパートや青果専門店、オーガニック系食料品店などに行って、売り場を見て商品をみるようにしています。
圃場もかならず見ます。
ビジネスの世界では、データの裏付けがないの?とかよく言われます。確かに人を説得するためには、あったほうがベターな場合もあります。しかし、農産物のマーケティングの定量的裏付けは、難しいですし、既存でない新しい商品を作るのに、あまり意味がないこともあります。これまでの規制のものでは意味がない場合もあります。