丹波市立 農の学校(1年制新規就農者向け農業学校)で、「農産物のプロデュース」講義を担当しています。単なる農業マーケティング論でなく、作った農産物をどう売るのか?売るために必要な知識、技術、心構えなど座学とワークショップを通して学んでいただいています。
この講義は受講生だけでなく、地域の農業者などにも公開された講座でしたので、一般の方もご参加いただきました。
今回は初回の講義でしたので、テクニックよりも、まずは「伝えることの重要性」について考えていただきました。
マーケティングにかかせない「商品提案力」
農産物マーケティングのポイントは、素材の特性を知って、欲しい人に届けるということです。しかし、自分の作っている農産物がどういう食品なのか、生産者は意外とわかっていないケースがあります。
自分の商品の訴求ポイントをしっかりと掴んで、それを人に伝えられること、当たり前のようで、実はすごく難しいことなのです。
顧客にどうわかりやすく商品を伝えるか
どこに、どのように売るかということももちろん重要ですが、今回はまず「伝える」という基礎的な力に重点を置いてレクチャーしました。
強みを身に付ける
相手や商品によって伝え方を変えるのはどのビジネスでも同じかもしれません。しかし、農産物は多様で個体差があるので、それに合わせて表現やポイントを変えていく必要があるので、実は単純ではありません。また、利用シーンや相手によって伝えるポイントも異なります。商品の特徴を知識として持つことは勿論ですが、食品である以上、どう食べるか、どう使えるのかが重要な売りのポイントです。食べ方・使い方なんてちょっと検索すればわかるから、それを伝えればいいよと思われるかもしれませんが、売るってそんな甘い話じゃないと思います。
私は「自分の言葉で伝えられる」という強みを身に付けていただきたいので、ワークショップ形式で体験を重ねていただいています。実はそれが、あとあとになってすごい強みになるのです。
食べ比べとは
畑で収穫した2種のじゃがいもを同じ時間加熱調理したものを食べ比べてもらいました。自分がどう感じたかを表に書き込んでいってもらいます。そしてグループ内で共有することで、自分と他人の感覚の違いや、表現力を学んだりすることで、提案力を高めていくねらいがあります。
受講生のアンケート
- 新田先生の話は、現場実践型の講義で納得のできる、わかりやすい話で大変よかったです
- 農業は生産さえすればよい、という考えは改める必要があると感じた。
- 売るために自分の作物の味を知る事、他との味を比較して強みを知る事というのは当たり前のようで気が付きにくい事だと思いました。
- 自分の感覚を大事にする、食べてみる、表現しているという視点に気づかされました。
- 商品を自分自身が知って伝えるのも大切だと感じました。自分自身の言葉が一番相手に伝わるのだと感じました。
- 生産しているだけで、食卓を見据えていないと間違えると思いました。
- 作物の品種の特徴と調理性や用途の違いを知ることができました。
- 生産者の立場以外の見方を学ぶ、知ることは今後に役立つ視点だと思った。