「環境と食文化」という講義を城西国際大学 社会情報学部で担当しています。
環境を学ぶ切り口は多様ですが、私の講義では食を切り口にして、「サスティナブルな食」について、文化や歴史的な背景を伝えつつ、マクロ的、ミクロ的に考えてもらう15回の講義を行っています。
食を通じて、自分を知り、他者を知り、社会を知って、毎日の食生活で自分がどういう考え方でどういう行動をしたらサスティナブルになるのか、という視点をもってもらうことがゴールです。
なんとなく食べているから「食の自分軸」を作る
情報社会において、何を食べるか、どんな栄養があるのか、どう作るのか等の必要な情報は溢れるぐらい存在しています。私達は日頃、多種多様な情報から抽出して、インプットしている訳ですが、情報の抽出方法って、断片的で、しかも意外になんとなくしているのではないでしょうか。だから世の中の情報や流行りものに振り回されてしまいます。
食の民度を上げる
あれがいいと言われれば、あれを試し、これが美味しいと聞けば、それにハマる。。。 もちろん、そういう食の楽しみ方があってもいいなと思いますが、食の根本的な課題の解決のためには「食の民度を上げる」ことが必要だと思います。民度を上げることは、社会と人の繋がりを考えたり、サスティナブルな世界に少しでも近づけることです。
一人一人考え方や環境が異なるので、味覚が異なるのは当然のことです。
その違いに気が付きて、自分なりの「自分軸」をもっていれば、情報に振り回されず、相互理解に繫がります。そのような想いからこの講義を行っています。
最近一番印象に残った食は?
第一回目の講義では、世界をとりまく食の状況を学んだ後、自分の身近な食について考えてみようということで、「最近一番印象に残った食」について思い出してもらいました。いつ、どこで、誰とどういう状況で食べたのか聞いていると、家族や友人たちと食べた食事という回答が圧倒的でした。
久しぶりに会った友人との食事、誕生日の食事、友達におごってもらった食事、旅館で食べた食事など、何らかの印象深いシチュエーションが存在することが感じ撮ってもらえたと思います。
食は、何を食べるよりも、誰と?どんな状況で食べるかということが、自分にとって印象に残ったり、心地よく楽しく感じていることを認識してもらえたと思います。
見た目のおいしさと食べたおいしさの違いを感じるワーク
後半では、おいしさについて理論的なことを学んだ後、体感ワークを行いました。見た目で感じた味や食感と、実際食べたときの感じ方との違いを体験するワークです。
見た目が酸っぱそうなブドウでも、食べたら甘くて全然酸っぱくなかったとか、堅そうにみえたおせんべいだったけれど、実はほろっとしていて柔らかかったとか、しょっぱそうにみえたけれど、実は甘さもあったとか・・・
インスタ映えという言葉がある位、視覚的情報はとても重要です。「見た目のおいしさが」と人を引き寄せます。しかし、見た目と味とギャップがある食品もあります。見た目と食べたあとの違いを感じることは一種のトレーニングであると同時に、商品開発においては、そのギャップをどう埋めるかというヒントにもなります。
学生たちの反応
学生の感想は、食べる前と食べた時の違いが面白かったとか、グループで話し合いをしていると、それぞれ人よって感じ方が違ったり、表現が違って面白かった、自分で何を食べているかこれまで全く意識したことがなかったなどの感想がありました。