大学の【環境と食文化】の講義では、サスティナブルな食を様々な角度から学んできました。最終のワークショップは、座学(動画)で学んだことを、実際に体験してもらって頭だけでなく、自分の経験から判断できるようにしてもらうことが目的です。
東日本大震災からまもなく10年。その時の教訓から、災害食(非常食)は研究されたり、技術が進歩してバラエティ豊かになりました。また災害時の調理も様々な方法が開発されてきました。
災害食の講義では、災害後の状態によって調理の方法が異なることを説明したあとに、
ポリ袋を使った調理と、乾物と缶だけで作る調理を体験してもらいました。
世の中では缶詰料理が人気ですが、学生には缶詰はちょっとまだ縁遠い食材のようで、缶詰で料理ができること自体が新鮮な学生もいました。
実際に体験してもらうと、思ったよりも美味しい、イメージと違った声がありました。今回一番伝えたかったのは、災害時に困らないようにローリングストック方法を実践してほしいということでしたので、そのきっかけになればよいと思っています。
(過去の関連記事は文の最後にリンクを貼ってありますので、ご覧ください。)
ポリ袋調理 焼鳥缶×保存野菜
災害時でインフラに制限があり、水も充分確保できない状態を想定して、ポリ袋を使った調理を行いました。焼鳥缶を使った鶏じゃがのような味の煮物が出来上がりました。
災害時は、野菜不足が問題になりますが、常温で保存できる野菜を使って手軽に調理できることを体験しました。
野菜ジュース × 缶詰 × 早煮パスタ
野菜ジュースは災害時に役立つ飲料です。そのまま飲んだり、料理に幅広く活用できるからです。通常パスタはソースと茹でる鍋は別々になりますが、エネルギーと水の消費の削減を考えて、短時間で茹でられるパスタと一緒に一つの鍋で煮込みました。ツナ缶とマッシュルーム缶を使って栄養バランスと美味しさを兼ね備えた一品になりました。学生たちからは簡単で、普段でも使えそうという声も上がりました。野菜ジュースをストックしておく、料理に使うということが目から鱗だったようで、さっそく実践してみたいという声が多くありました。
大豆ミート プラントベース × 保存食
今回は災害食が主テーマでしたが、同時にプラントベースについても学習していました。プラントベース食の中で中心的な食品になっている大豆ミートについて学んでいたので、ワークショップでは実際に食べる体験をしてもらいました。
大豆ミートは保存食としてもとても便利で、非常時の蛋白質源になります。またローリングストックしておくと、お肉がなくても大豆ミートでおかずが出来ます。
ワークショップでは、乾燥タイプ、しっとりタイプの大豆ミートを使って唐揚げ、肉そぼろを作りました。大豆ミートを初めて食べた学生が殆どでしたが、反応は様々でした。
ご飯にかけると美味
アルファ米は非常食としてよくありますが食べたことはないと思い、実際に作って食べてもらいまいました。
意外においしい、普通に食べられるという感想が多かったようです。
一人暮らしの学生も多いのですが、事前アンケートによれば非常食や保存食という考えをそもそももっていなかったり、缶詰やカップラーメンを保存している人が多く、具体的に何が必要なのかということを知ったり、イメージすることはこれまでなかったようです。
もしものときのために、避難訓練のように、自分の食を守る、命を守るという意味でも、このような「災害食の体験学習」はとても重要だと私自身が改めて感じました。
コロナ禍も非常時ですので、これまでの食生活を見直せざるを得ない状況です。《備える食》についてもっと学ぶいいきっかけかもしれません。
何か起きた時に対応できる知恵と工夫は、最低限の知識や経験がなければ難しいことです。今後このような災害食の体験学習が学校の家庭科などで導入されていくことを期待しています。
災害時に役に立つ野菜の保存食
Vol.1
https://courtyard.co.jp/letter/vegefru-stock/
Vol.2
https://courtyard.co.jp/letter/vegehozon2/
Vol.3
https://courtyard.co.jp/letter/begehozon3-kansouyasai/
ローリングストック食の選び方
https://courtyard.co.jp/letter/rolling-stock-food/
この他に、ローリングストック食を使ったレシピもgreentable内ありますので、ご覧ください。